産休中の読書まとめ
産休中に読んだもののまとめ。
Booklogで管理している自分のレビューをベースにしているので、文体がややバラバラです。こうして纏めると、育児ものに偏っていたことに気がつく。もっと幅広く本を読んでも良かったかもな。
■小説
パールアタックから極東裁判までを舞台とした、日系移民(アメリカ人)の生き様を描いた作品。ずっと読みたかったが、山崎豊子作品は重い為なかなか手に取ることが叶わず。でも読み始めたらやはり引き込まれてしまって、一日一冊ペースで進めることができた。改めて日本の歩んできた近現代の歴史の重さをかみ締める。生まれてきた娘にも勧めたい。
部活の先輩の作品が載っている&母子モノだったので。私はどんな母親になるのやら、我が家はどんな家庭になるのやら、どんな娘になるのかしら、なんて読了後にふと考えたり不安に駆られたり。家族小説の読み方が今までと変わったなーと気づかされた。
■歴史・雑学
典子様と千家国麿さんのご成婚をきっかけに日本神話のおさらいとお勉強。
明治天皇の玄孫の方が執筆された現代訳古事記。神様の名前が長すぎて多すぎて覚えられません。稗田阿礼すごすぎる。。。因みに古事記は本居宣長が注釈をつけるまで読める人がいなくなってたらしい。
ちょっと読むのに疲れるけど、改めて「知る」と「認識する」の違いを考える。赤ちゃんが認識を肥やしていく過程は面白い。
明治のベストセラーグルメ小説「食道楽」の解説書。当時の台所事情、食事事情、食の薀蓄、また著者村井弦斎(かなりの愛妻家)の先進的な食育論、家庭論が展開されている。歴史小説や映画ではなかなか見えない、当時の食を巡る背景は面白い◎歴史小説や映画ではなかなか見えない、当時の食を巡る背景は面白い◎今でこそ食材調達も鮮度管理も調理器具もガス水道も整っているものの、明治初期に手の込んだ家庭料理を楽しむことはなんて大変なことだったのか。
因みに庶民の一ヶ月の生活費が一月30円程度の時代に岩崎弥太郎邸では食費だけで8万円、台所は今でいう3LDK住宅もの広さだったそうな。おったまげ。
なるほどなっとく! おいしい料理には科学(ワケ)がある大事典
- 作者: 別冊宝島編集部
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/05/16
- メディア: 単行本
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娘に料理を教えることになる前に、料理のいろはを科学的に勉強。そう、お肉も野菜も発酵食品も、加熱も消化も栄養素もみんな生物学と化学の範疇。今時レシピなんて調べれば山ほど出てくる有難いご時世だけど、ネットレシピは下ごしらえの仕方や意味までは書いてない。だからとばしちゃったり、何のための下ごしらえかわからないままだったり、なんてこともしばしば。でもこの本は科学的にどうすれば料理が美味しくなるかを難しく書いてあるから面白い。
野菜の切り方BOOK―&究極のシンプル野菜全167点 (LEE COOKING)
- 作者: 熱田陽子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/03
- メディア: 大型本
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これも産休をきっかけに料理の基礎を押さえる為に読んだ。各野菜の各切り方毎にレシピがのっていて思っていた以上に実用的で実践的だった。野菜料理だからヘルシーなのは勿論のこと、見ているだけで飽きない見目美しい料理ばかり。切り方だけで料理ってここまで広がるんだと目から鱗。著者は元劇団四季の美術スタッフ。仕込みの細かさと彩りのセンスには成程合点。
■社会問題
妊娠解雇、職場流産、母親の孤立、産科医療現場の激務、命の選別、育児支援サービスの不足、高齢出産のリスクetc..ボリュームがある一方、具体的なインタビューに基づいていて読みやすいルポでした。特に女性と仕事に関する問題と乳児医療現場の過酷な状況ついて多くのページを割いていて、「子供を産む人が少ない」のではなく「子供を産ませない社会」の課題を浮き彫りにしています。一番感度が高い今に、社会問題としての育児・教育についてのルポはこれからも読み続けたい。
診察費が支払えない弱者、介護施設から追い出される高齢者、メタボ検診のからくりとその将来的な悪影響、経営が成り立たないように出来ている介護業界、利潤追求に走るアメリカの病院チェーン、フリーター医者の増加etc...
行政、経営、高齢化、利権、いろんな側面で問題がありすぎてスパゲティ状態。
いつか人事ではなくなるので・・・。医療格差問題とあわせて考えたい。
■育児・教育
世界一ぜいたくな子育て 欲張り世代の各国「母親」事情 (光文社新書)
- 作者: 長坂道子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/05/17
- メディア: 新書
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文化、哲学、ジャーナリズム畑出身の著者らしく、母乳育児を各国水平的垂直的な視点で紹介しながら最後に英米仏の世界一贅沢な女性の生き方に展開していく。(母親になるというのはあくまで自分のファセットを増やすとという表現)日本は豊かさでは変わらないはずも社会通念やインフラ面でこれら先進国のスタイルは望めない。私自身も、凄いなーと思いつつ違和感/異世界感は否めなかった。育児論を通して各国の思考パターンが見て取れるのは面白い。
極端な息子溺愛ママ、モンスターママ、自己チューママ、早期教育マニアママの例をあげて、誰もがこれは酷いと引いて指差すような反面教師ばかりで読んでいて若干不快になった。まるでいまの日本の子育ては崩壊してるの?と思わせわんばかりの週刊誌っぽいチョイスの記事。ちょっと期待ハズレ。
日本で一番読まれている育児のバイブル。乳幼児期は子どもの要望をできるだけ叶えてあげることで信頼感が育まれ、子どもは課題を乗り越え、健全に育つことができ、人間性の基盤が形成されるという佐々木先生からのメッセージ。出来るだけ子供の声を聞き、可能な限り叶えてあげる。家事などですぐにできない場合は、「順番」を教えてあげる。それで「待つ」ことを覚える。赤ちゃんが笑顔の時は一緒に笑って喜んであげる。目一杯甘えさせて親や周りの人達を信頼させる。それで子供は挑戦や自律ができる。
エリクソンの「発達段階」を背骨に書かれいて、「生涯発達の理論」で書かれていることは育児だけじゃなく、人材育成・マネジメントの視点で読んでも学び・気づき・知見が得られるんじゃないかなぁ。
意外に「成功する子・失敗する子」と似た論調。
アメリカ最新なんて書かれていますが、あまり目新しいことは書かれておらず、実は「子供へのまさざし」と同じ論調でそれをサンプル統計や、ゴールを明確に設定することでより多くの人(特に男性ビジネスマン?)でも手に取りやすくしたイメージ。
お母さんの「敏感期」―モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる (文春文庫)
- 作者: 相良敦子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/08
- メディア: 文庫
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モンテッソーリ教育の入門書。敏感期という時期が子供にはあって、それを知っているかで子育てが楽しくも大変にもなるという話。敏感期とは幼少期なにか一定のものに特に感受性が強くなる時期のことで、この時期を逃すと関心を持たなくなったり鈍感になってしまう。習い事に雁字搦めにするより、日常的なお手伝いなどで、道具を使ったり力やバランス加減が必要な動作をさせてあげるのを勧めていました。これは心掛けたい。
真っ白な赤ん坊は万能の可能性を秘めてるなんて早期教育の勧めもあるけど、生きる為に必死に新しい世界に順応しようとする子供に親のエゴは押し付けたくないなーと思ったり。生まれて初めて五感を通じて受ける刺激を一生懸命処理しようとしてるんだなー。偉いなー凄いなー。と、検証と実験中心の本だけど、色々と考えるきっかけを貰いました。